2002/2/15
衛星「DASH」の分離失敗はNECの製造ミス
(読売オンライン)(本文

宇宙科学研究所が約6億円をかけ開発した衛星「DASH」の国産ロケット「H2A」2号機からの分離失敗で、同研究所は15日、原因が製造会社による図面の写し間違いだったと発表した。ロケット側には問題はなかったと結論付けた。

 同研究所の調査によると、衛星を設計したNECが、基本設計図から製造用の図面を作る際、信号を伝える配線のうち2本の接続先を間違って写していた。この配線は、ロケット側から送られた衛星の分離信号を伝えるものだったため、DASHはH2Aから分離できなかった。

 DASHは、99年12月に納入されたが、納入検査でもその後のテストでも間違った製造図面に基づいて行われ、誤りを見つけられなかった。ロケットの空き空間を利用して打ち上げる「すき間衛星」だったため、構造を極力簡略化してあり、飛行時と同じ配線で事前に試験できない仕組みにもなっていた。

 同研究所とメーカー側との契約で、製造ミスなどによる保証は納入後1年以内となっているが、「今回のミスはあまりにも単純。損害賠償請求が可能か弁護士と相談したい」(同研究所の中島節夫管理部長)という。

 NEC東芝スペースシステム(当時のNECの衛星製造部門から独立)は「NECの製造部分が原因であり深く反省している。今回のようなことが2度と起きないように万全を期したい」としている。