2010-07-31 静止軌道に替る新しい軌道を発見か

静止軌道を飛行する衛星は混雑状態にあるが、現在の静止軌道にかわる新しい静止軌道の存在の可能性がでてきた。

スコットランドのストラスクライド大学のエンジニアはこの新しい軌道は十分機能すると主張している。この軌道そのものは、1984年に米国物理学者ロバート・フォワードが初めて提案している。

現在の衛星はケプラーの法則に従って飛行している。これはヨハネス・ケプラーによって400年前に示された法則。推力などで力が加わらない限り、衛星は打上げ後は飛翔パスにそって飛行する。しかし、フォワードは太陽帆を使って静止衛星を異なる軌道に移動する方法を提案した。

この理論は不可能な提案として無視されてきたが、ストラスクライドの先端宇宙概念研究所ディレクタのコリン・マッキンス(Colin McInnes)らは、フォワードの提案は正しかった、と発表した。

提案によると、ケプラーの法則に従わない閉鎖軌道を考案した。この軌道は衛星を24時間周期で地球を周回する。しかしながら、赤道の北か南側に配置されることになる。太陽帆が受ける太陽光からの圧力は、地球の僅か下側を廻るために軌道の中心をずらすことが可能となる。この軌道を空中浮遊軌道(levitated orbit)と呼んでいる。

8kmから50km程度の間の変位だが、静止衛星の置き場所としては十分であり、気象衛星や通信衛星には十分利用可能となる軌道である。ハイブリッド太陽帆を組み込むことで衛星を僅かに離すことが可能とのこと。

マッキンスらは、極静止軌道の可能性を検討している。