2008-06-08 月の「ちり」で天体望遠鏡を造る?-米NASA研究

米航空宇宙局(NASA)の科学者Peter Chen博士が、月面に積もった「ちり」とカーボンナノチューブ(訳注:炭素の結晶)を使って巨大な月面望遠鏡を造る研究を進めている。

 Chen博士は「月面での望遠鏡建設の際にちりを使えば、地球から高額な費用をかけて反射鏡や材料を輸送する必要がなくなります」と説明する。

 Chen 博士によると、カーボンナノチューブ、エポキシ樹脂(訳注:接着剤のような働きをする樹脂状物質)、月面のちりと同じ大きさに砕いた石を混ぜ合わせると、コンクリートのような強固な物質ができるという。博士らはこの上にさらにエポキシ樹脂の層を重ね、アルミニウムでコーティングした結果、感度の高い直径約 30センチメートルの反射鏡を作ることに成功している。

 Chen博士と共に研究に携わったDouglas Rabin博士は、「月面に豊富にあるちりを使えば、最大で直径50メートルの反射鏡を造ることができます」と述べる。

 現在、地球上にある最大級の望遠鏡でも直径10-11メートル程度。直径50メートルの月面望遠鏡が実現すれば、天文学分野の発展に大きく寄与すると期待される。

 Chen博士は6日、米セントルイスで開催されるアメリカ天文学会で研究成果を発表する予定。(IANS)