2007-08-10 地球の凹凸全部見せます ネット公開 経産省とNASA

 経済産業省と米航空宇宙局(NASA)は08年12月、人工衛星から撮影した全地球の3次元地形データを無償で公開する。測量ができない地域の詳細な地形図作りや、火山や土石流など自然災害の被害予測にも使える。全地球的なデータを公開するのは世界初。10日、日本列島だけの試用版をインターネットで公開する。

 公開するのは、全地球の30メートル四方ごとの標高データ。NASAの人工衛星テラに搭載され、経産省が開発した地球観測センサー「ASTER」が赤外線で撮影した。

 地球上のどの地点のどの方向からも鳥瞰図(ちょうかんず)を作ることができる。フリーソフトを使ってデータを加工し、鳥の目や飛行機からみたような動画も作れるから、パソコン上で地球上のどこでも遊覧飛行ができる。

 地形の傾斜など細かいデータがわかるため、溶岩や土石流などが流れる範囲や時間などが正確にわかり、ハザードマップの作製に使える。軍事用にはさらに細かいデータが必要で、利用には適さないという。

 これまで、スペースシャトルが撮影したデータが公開され、検索サイトグーグルなどで見ることができる。だが、北緯60度から南緯56度の範囲でデータが欠落している部分もあった。今回は、欠落はなく9倍細かい。

 経産省宇宙産業室は「世界中のだれもが無料で利用することで、日本の宇宙産業技術のすぐれた部分を世界中に広く知ってもらいたい」としている。今年11月に、南アフリカのケープタウンで開かれる、地球観測サミットで計画を発表することにしている。

 試用版の公開は、ASTER全球3次元地形データのウェブサイトで。(asahi.com)