2007-06-17 宇宙旅行を簡単にする技術的な挑戦:EADSスペースプレーンデザイナー

マーク・ニューソンの机の向こう側には、ばらまかれたように散らかるモデル・ロケット、宇宙雑誌、そしてNASA関連グッズの一つ一つが、彼が宇宙オタクであることを物語っている。ニューソンは思い出す限り、宇宙に取りつかれていたという。そして彼の夢のデザインプロジェクトは何かを尋ねると、彼は決まって「宇宙ステーション」と答えていた。

彼は現在その目標に向かってスペースプレーンのデザインに取り組むことによって「輝かしい第一歩」と呼ぶものを手にしている。それは部分的には飛行機であり、部分的にはロケットとなっている新しいレジャー用宇宙船である。 「これは私が非常に好きでやってみたいとずっと考えていたプロジェクトの一つです。」と、ニューソンは述べている。 「これは技術的にも人間工学的にも大きな挑戦です。特にこれまでに存在しなかった多くの問題を扱わなければならなかったので大変でした。」

アストリウムが約1ヵ月半前にニューソンのデザインアトリエに接触した時には、ジェットエンジンとロケットエンジンの両方で飛行するスペースプレーンの技術的な機構は完成していた。他の宇宙旅行用宇宙船は母船と宇宙船で構成されている。乗員はパイロットと乗客4人。ジェットエンジンで高度15キロメートルまで上昇し、そこでロケットエンジンに点火して高度60キロメートルまで到達する。その後惰性で高度100キロメートルに達し数分間の無重力状態となる。その後は航空機のように自らの推進力で地球に水平に着陸する。

「まずは乗客を最優先にして内部も含めた基本構成を設計し、その後外構造部分を考えました。」とニューソンは説明している。「キャビンと安全対策を最重要課題として考えました。」「さらに、乗客が耐えなければならない状態を理解しようとすることも重要です。乗客が宇宙でより楽しくさまざまなことを体験できるよう機能アップするという究極の目標を失わないようにしました。」

43歳でオーストラリア人、そして美術品収集家でもあるニューソンは工業デザインに多くの時間を割いている。仕事の中心は航空宇宙プロジェクト。すでに数台の自家用機を設計している。最大のクライアントはカンタス航空です。カンタス航空の機内と空港ラウンジを設計している。

「航空宇宙産業での設計作業は技術レベルの問題と、規制、規則の問題が複雑で、信じられないほど挑戦的です。しかしこれまでの経験がスペースプレーンの設計に生かせる知識を得るために役に立ちました。」

アストリウムのプロジェクトでは新しい挑戦課題に取り組んだ。飛行時間は3時間未満で短くなる。キャビンの固定具は最小限で十分である。これも機体の軽量化に結びついた。無重力時間は数分間と短いため、旅行者が地球の眺めを簡単に満喫できるように工夫をしている。

「デザイン側が構造部分で妥協せず、窓部分を多くすることにしました。」とニューソン。「無重力体験をより楽しむためにキャビンの空間を最大にする必要がありました。浮いているときにお互いにぶつからないようにすることが重要でしょう。」