2006-09-08 小惑星イトカワ表面で「宇宙風化」・国立天文台など解析

 小惑星「イトカワ」の表面で、岩石が宇宙線やちりなどの影響で吹き飛ばされる「宇宙風化」と呼ぶ現象が起きていることを、国立天文台などの研究グループが突き止めた。探査機「はやぶさ」による鮮明な画像データを解析した。イトカワは長さが500メートル程度の小惑星で、これほど小さな天体で宇宙風化が確認されたのは初めてという。

 7日付の英科学誌ネイチャーで発表した。イトカワの岩石の状態を正確に把握でき、地球に飛来する隕石(いんせき)の起源解明などに役立つという。

 通常、太陽から吹き出る電離した微粒子(太陽風)や非常に小さな隕石が小惑星の表面に当たると、岩石の一部が徐々に吹き飛ばされ、宇宙風化が起きるとされる。

 風化には数百万年以上という非常に長い時間がかかる。同じ軌道上に長くとどまれる大きな天体にしか起きないとされていた。宇宙風化が確認されている小惑星はいずれも直径が十数キロメートル程度と大きかった。(Nikkei)