2005-01-17 大手商社:ロケット打ち上げに「商機」
「ユーロコット」社のロケット=三井物産エアロスペース提供
大手商社が、中小型の人工衛星を積むロケット打ち上げビジネスに積極的に乗り出している。今後、民間企業や研究機関が環境観測衛星などを打ち上げるケースが増える一方、国産のH2Aロケットの打ち上げ失敗などで、低コストのロケット打ち上げに対する需要が高まるとみられるためだ。すでに複数社が、冷戦時代に旧ソ連で開発された大陸間弾道ミサイルを転用したロケットなどの売り込みに走り出している。
住友商事は、ロシアとウクライナ両政府出資のコスモトラス社(モスクワ)の日本・アジア地域の代理店になり、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)から光衛星間通信実験衛星の今夏打ち上げを受注した。
旧ソ連製の大陸間弾道ミサイルを転用した「ドニエプルロケット」を使い、カザフスタンのロシア軍・バイコヌール基地から打ち上げる。同ロケットは重さ数百キロ程度の中小型衛星しか搭載できないが、打ち上げ費用は国産ロケットを使った場合の約4分の1、約10億円で済む。
米ソ間で90年代に締結した戦略兵器削減条約(START)で、ロシアは2020年までに同ミサイルの全廃が義務付けられており、いわば「廃物」利用で低価格にできるのがミソだ。
一方、三井物産エアロスペースが手がけるのは、ユーロコット社(ドイツ)のロケット。やはり大陸間弾道ミサイルからの転用ロケットを使うが、ドニエプルより大きい1トン程度の衛星が搭載できる。打ち上げ費用は20億円程度とやや高めだが、何基もの衛星を同時搭載することで1基当たりの打ち上げ費用を抑えることができる。実際、東大、東工大の研究衛星2基を搭載したロケットを昨年6月に打ち上げた際は、費用は合計約500万円で済んだ。
今後、宇宙から地震・津波の発生の監視や農業向けの地表調査など、研究機関や民間企業による衛星打ち上げのニーズは増える一方。また、多機能の大型衛星の打ち上げに失敗すると損害額が高額になるため、機能を絞った安価な小型衛星が増えるとの予測もある。国際的な仲介ビジネスとして商社の強みを生かせる分野だけに、各社は今後の受注活動を強化する方針だ。(毎日)