2016-01-25 鳥取の砂固める技術、宇宙開発へ…地元企業提案

鳥取砂丘の砂を固めて土産物のモアイ像を作る「モルタルマジック」(本社・鳥取市気高町)の研究提案が、宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)に採択された。

 月や火星の砂を固めて建築資材を作り出す研究で、成果が出れば年間研究費数千万円の研究に昇格する。池原正樹社長は「鳥取の技術を宇宙開発の歴史に刻みたい」と意気込んでいる。

 同社が応募したのは、JAXAが今年度設けた産官学連携のプロジェクト「太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ」の研究提案。

 高温や低重力など地球とは違った環境の月面や火星表面での探査や拠点基地建設、建築資材の調達のための技術研究を公募。全国の大学や企業などから65件の応募があり、今月、同社の提案を含む31件が選ばれた。

 同社は、モルタルを作るのと同じ要領で、月面や火星の砂と水と接着剤を混ぜ合わせ、建造物建設に使う資材を作る方法を研究。また、過酷な環境下での固めた砂の強度維持に関する研究も行う予定。

 JAXAによると、地球から月や火星に物資を運ぶには、1キロあたり10億円の費用がかかるという。同社の研究が成功し、建築資材の現地調達ができれば、大幅な低コスト化が見込める。

 2月に正式に契約する。期間は1年間で、同社には最大300万円の研究費が交付される。成果が認められれば、年数が3年、研究費が総額9000万円が上限の研究に昇格し、実用へ大幅に近づくことになる。池原社長は「これまで研究してきた技術を結集して、宇宙空間の過酷な環境の中でも、びくともしない強度を実現させたい」と話している。