2011-08-17 世界の宇宙競争力調査: 米フュートロン社

昨年から行っている宇宙開発国の競争力調査。米コンサルティング会社がさまざまなパラメータを段階方式で評価し、総合点を分析して比較するという単純な手法で評価比較している。主観的評価ではあるが、数値を使うことで客観性を高めようとしている。

宇宙競争力インデックス(Space Competitiveness Index:SCI)と呼んでいる。欧米には宇宙専門の大手コンサルティング企業が存在するが、小規模を除き日本には無い。

米国-米国は宇宙競争力では世界のリーダではあるが、他国が上昇していることで相対的な地位は低下している。特に有人宇宙飛行では米国は移行期の真っ最中であることも低下の要因でもある。

欧州-欧州はESA参加国の個々の努力を統合したものである。英国からチェコ共和国、エストニアまで新しい国家的宇宙活動の形成を増殖させている。宇宙輸出金融も積極的に行っている。

ロシア-世界の打ち上げ市場をリードし続けており、国際宇宙ステーションへの輸送という最重要部分を独占することで宇宙活動増加に寄与している。また、欧州の打ち上げ基地であるコーロからソユーズロケット打ち上げが始まろうとしている。

中国-2010年は記録的な打ち上げ回数を達成し、初めて米国と対等な立場に到達し、さらに、技術教育プログラムや民間研究機関への投資を増やしている。

日本-宇宙政策を大幅に改革することで国際競争力を増し、官民協力体制を浸透させる方向である。しかし、これまでの2011年の結果、中国の急激な成長に対し、相対的に日本の地位を維持するには不十分であった。

インド-2011年の結果、一足飛びに成長した国の一つであるが、次世代の宇宙開発目標に向けて宇宙関連の技術教育を強化している。

カナダ-熟練した宇宙技術者を抱えており、カナダの宇宙企業は2010年は良い結果を残した。しかし宇宙政策の改革が遅れにより、競争力の優位性を相殺してしまった。

韓国-2回の打ち上げに失敗してから組織的大改革を行っている。独自の宇宙飛行を達成しようとしている宇宙分野ではもっとも新参国という地位は変わっていない。

ブラジル-国家宇宙活動の優先順位を再検討している最中である。国際協力を拡大し、新型ロケット開発計画を棚上げしている。今の状況から、南米諸国の宇宙開発活動のけん引役を主導できるかどうかが今後の課題である。