2007-09-05 「羽咋市方式」新潟に売れた コメの味、衛星で解析 行政ビジネス第1号

 羽咋市が民間会社と共同で人工衛星の画像データを活用して実用化した、コメの食味を測定するシステムが米どころ新潟県で採用されることになった。「神子原米」の味の良さを科学データで実証した信頼性に加え、従来に比べて十分の一以下という低コストが好評で、同システムを使った「行政ビジネス」の第一号となる。財政難にあえぐ市は、職員のアイデアを生かして開発したシステムに収入増への期待を膨らませている。

  「羽咋市方式人工衛星測定業務」と名付けられたシステムは、アメリカの商業衛星「クイックバード」が撮った稲の画像データを解析し、米粒に含まれるタンパク質含有量などを調べる仕組み。おいしい米はタンパク質含有量が「6・5%以下」が目安とされ、解析で得たデータは施肥や刈り取り適期などに生かすことができる。

 同市は昨年夏、航空測量の中部航測(白山市)などと連携して同システムを開発し、十アール当たり八―九千円だった費用を五百円程度とする低コスト化を実現した。良質で評判の「神子原米」で実証しながら「羽咋市方式」システムの利用を全国にアピールしていた。

 国内各地をはじめ、韓国などからも「羽咋市方式」システムへの問い合わせが相次ぐ中、第一弾として新潟県十日町市のNPO法人「越後えちご屋」(丸山浩代表)での採用が決まった。米などの農産物で地域ブランドの育成や発信を手がけており、魚沼産米に代表される新潟産米のブランド力を一層高めるため、システムを活用することにした。人工衛星で撮影した信濃川近くの水田約六十四平方キロメートルの画像データを活用して来週にも解析に着手する。

 今回のシステム利用料は約百万円で、このうち羽咋市にも技術料として一定の収入が見込まれる。市は財政の弾力度を示す経常収支比率が100%を超えて財政が硬直化する中、システムが少しでも収入増につながることに期待を寄せており、同市は「安くて安心のシステムだからこそ米どころで使ってもらえた」(農林水産課一・五次産業振興室)と喜んでいる。

 橋中義憲市長も「金額は少ないが、経費削減ばかりでなく、行政の持っているノウハウを収入につなげる方策の一つの成果」と評価している。(北國新聞)