2007-06-06 日本ムーグ、新設のクリーンルームで人工衛星推進系向け部品の国内生産能力を増大

日本ムーグ、人工衛星などの推進/姿勢制御用、推薬弁/遮断弁』、国内生産能力を4倍に増大

 日本ムーグ株式会社(代表:ショーン・ガートランド、本社:神奈川県平塚市)は、新設のクリーンルームによって、人工衛星推進系向け部品の国内生産能力を増大した。この設備を使い、人工衛星や宇宙探査機の軌道制御や姿勢制御に使われる推薬弁や遮断弁の開発や生産を行なう。また、最新の部品洗浄・試験装置を導入し、より大型のバルブの生産も可能になる。 このクリーンルームは5月末に稼動を開始しており、ムーグの宇宙関連製品の国内生産能力は今後3年間で4倍に増大する。

 ムーグは、日本、欧州、米国の宇宙探査・開発プログラムに使われる推進制御装置、太陽電池パネル駆動装置、アンテナ制御装置の製造において世界有数の企業である。世界26カ国で事業を展開し、日本では1986年から宇宙関連製品の開発を行ない、国内の宇宙業界の発展を支えてきた。

 米国以外では、日本ムーグは宇宙分野の用途に対応した設計・製造能力を備えた唯一の拠点である。生産する推薬弁や遮断弁などの推進制御装置は、宇宙空間における誤作動や推進燃料の漏れを防止するためにクリーンルームで組み立てや試験を行う必要がある。

 推進系システムにゴミ(不純物)が入ると、宇宙空間における燃料漏れが発生するおそれがある。宇宙ミッションの成否を左右するこの問題はムーグが摺動面のない「防汚型」設計を採用することでゴミからの影響を軽減し、優れた耐用年数や信頼性を兼ね備えた製品を実現している。この製品開発は、中期的な国内販売拡大の原動力となる考えである。

 衛星姿勢・軌道制御用エンジンの国内開発と製造が広がれば、様々なサイズの推薬弁が必要となる。新しいクリーンルームでは、最新の試験装置の導入や最先端の加工技術を駆使して高い品質を確保する形でこのニーズに対応している。計画では、今後3年間で生産能力を段階的に引き上げ、最終的に4倍に増大する予定である。

 また、日本ムーグは姿勢・軌道制御用エンジンの国産メーカーと協力して、欧州などの輸出市場を開拓していく。このような長期的な需要に対応するため、新設のクリーンルームは、今後必要に応じて拡張する方針である。(Nikkei)