2007-05-10 次世代衛星通信、実験計画見直しへ・「きく8号」不具合影響

 技術試験衛星「きく8号」の通信機器に不具合が発生した問題で、情報通信研究機構などは9日、当初予定していた次世代の衛星通信実験計画を大幅に見直す方針を宇宙開発委員会に報告した。衛星に搭載した世界最大級の受信アンテナを利用できるメドが立っておらず、別の小型アンテナを使う代替案の準備を今月中に始める。

 きく8号は、テニスコート並みの大型アンテナを2枚搭載しており、携帯電話並みの小型端末でも地上から衛星と直接通信可能。災害時などに威力を発揮できる新通信技術として確立するため、宇宙航空研究開発機構が同衛星を昨年12月に打ち上げた。

 大型受信アンテナの復旧作業は続けるが、衛星の小型アンテナでも受信できるよう、携帯端末に直径70センチメートルのアンテナを接続する試験を月内に実施する。地上の中継局を経由して衛星と通信する試験も、今年度中に実施する予定だ。(Nikkei)

(編集者コメント:技術試験なので不具合も想定内のこと。その原因が明らかになれば実用衛星の成功率が上がるというもの。問題は、多額の税金が投入された高価な試験が、日本の経済発展に貢献する商業衛星開発に関係企業が独自のリスクで本気で取り組む気があるのかどうかである。単なる「勉強会」で終わらないためにも、この試験から得られた知見をお金に還元してほしいものである。)