2006-07-04 西暦2100年:宇宙からのソーラー・パワー

5月8日にロンドンで開催された“エネルギー2100会議”の議題は、“新しい技術が英国や世界のエネルギーを救うかもしれない未来を見据える”というものであった。

科学者、エンジニア、研究者、産業関係者たちが一堂に会して、技術について討議したり、長期的な視野の吟味を行なった。首相の科学技術会議が音頭をとり、王立工学院が催したこの会議の目的は、現在の最高の知識に照らして2100年に英国に存在するエネルギー供給の選択肢について先を見越すというものであった。

エネルギー担当大臣のマルコム・ウィックス氏は会議の席上、次のように述べた。「風力、潮力、核分裂、核融合などの選択肢を調査したり、植物が太陽エネルギーを活用する方法を真似るために宇宙を拠点にしたソーラー・パワーやナノテクノロジーといった純理論的なアイデアを探究するのがこの会議である。これからの100年間で地球のエネルギーのニーズをもたらしてくれる技術は驚くほどたくさんある。

もちろん、それらの多くは空論の域を出ないであろうが、21世紀末までに人類が低炭素経済の中で暮らしているであろうということは確かである。現在我々が依存している化石燃料は持続可能なものではない。人類が排出している炭素は気候のバランスを崩している。

人類の発明の才、特に今日ここに集まっている科学者やエンジニアの発明の才は、新たなエネルギー源を開発する上で重要なものとなる。私はこれらの技術のいくつかに魅了されている。本日話し合うことになっている水素燃料電池や潮力などの分野は非常に大きな可能性を秘めている。

エネルギー企業からは長期研究プロジェクトについて話を聞きたいと思っている。化石燃料に代わるエネルギー源を見つけ、それを世界に供給するという展望は、市場を大きな活動へと活気づける。しかし、市場の力だけに任せておくわけにはいかない。特にタイミングの問題もあるので、政府が果たすべき役割もある。

技術をサイエンス・フィクションから引っ張り出して、真の実証と商業化の可能性へと導き、研究会議などからのサポートを通じて新しい技術を推進できるように、政府は市場の枠組みづくりを助けることができる。現在のエネルギー・レビューはこうした“引っ張り出し”と“推進”のバランスを考察しており、私は今年の夏には首相に勧告を提示したいと思っている。エネルギー・レビューは2010年からの英国のエネルギー政策に焦点をあてている。しかし、本日の会議は中期的な見方を越えるものであり、英国を代表する科学者やエンジニアと一緒に、非実際的なものについて少し考える機会を私は嬉しく思っている。」

参考資料

“エネルギー2100会議”で意見を述べた人たちはエネルギーの様々な選択肢を提示し、2100年に向けての分析やシナリオについて討議した。彼らは自分の選択肢が2100年のニーズになぜ、どのような有益な貢献をもたらすと思われるかを主張するために招待された。チャンス、見込まれる進展、制約などが話し合われた。主眼点は供給にあるが、必要に応じてエネルギー需要の傾向の重要性も取り上げられた。(英国大使館)