2004-02-04 2つの新しい元素の創造に成功、米ロ研究者: 超重元素

米国とロシアの共同研究チームが2日、自然界には存在しない新しい元素を作り出すことに成功したと発表した。「超重元素」と呼ばれる原子番号115の「ウンウンペンチウム」と原子番号113の「ウンウントリウム」の2つで、他の超重元素に比べて放射線崩壊までの時間が長いという。

超重元素は、宇宙の起源とされる「ビッグバン」や、質量の重い恒星が最後に起こす「超新星爆発」の際に、数多く生じると考えられている。幾つかの超重元素については存在が予測されているが、存在時間が非常に短いため、観測は非常に困難となっている。

中には存在時間が比較的長い、安定した超重元素もあると考えられているが、これらの性質を持つ新しく2つの超重元素が確認されたことで、原子核物理学や宇宙の起源についての研究を深める手掛かりになる可能性がある。

今回の研究結果は、1日付の米国物理学会発行の雑誌「Physical Review C」が掲載した。

2つの超重元素を確認したのは、米国立ローレンス・リバモア研究所とロシアのドブナ原子核共同研究所(JINR)の共同チーム。モスクワ郊外にある粒子加速装置(サイクロトロン)を使い、カルシウムの同位体である「カルシウム48」のイオンを、原子番号95のアメリシウムの同位体「アメリシウム243」にぶつけて作り出した。同位体とは、原子番号(陽子数)は同じで化学的な性質は同じだが、中性子の数が異なり、質量数(陽子数と中性子数の合計)が異なる元素のこと。

研究チームは、昨年7月14日から8月10日にかけての実験で、存在時間が約90ミリ秒のウンウンペンチウムを観測。さらに、ウンウンペンチウムのα(アルファ)崩壊によって生じたウントリウムを観測、存在時間は約1.2秒だったという。α崩壊とは元素が放射線を放出して違う元素へ変化する現象の1つで、α線(ヘリウムの原子核、陽子2個と中性子2個)が出るものをいう。(CNN)