2004-02-04 欧州、有人月火星ミッションを計画

今週火曜日、欧州の科学者は今後30年以内に火星に人間を送り込むことを目指して、有人火星ミッション計画を開始した。ブッシュ大統領が発表した新米宇宙政策に含まれるように、初期段階では月にロボットと人間を送り込むミッションを実施する。

欧州宇宙機関(ESA)は2つの火星ミッションをすでに計画している。一つは2009年にローバを着陸させ、2011年から2014年にかけて火星表面の土壌サンプルを地球に持ち帰る「サンプルリターン」ミッションである。

さらにテストミッション「ExoMars」として、将来の有人宇宙探査のための準備として、エアロブレーキ(大気を利用した宇宙船の減速技術)、太陽電気推進システム、軟着陸技術などを実証するための技術実証ミッションを行う。

2024年に計画されている有人月ミッションは、生命維持技術や居住技術、さらに長期宇宙飛行における作業能力や適応能力などに関連する技術を開発する。

このプログラムに必要とする費用は今後5年間でUS$1.13 billion(1130億円:1ドル=100円)を見込んでいる。

先ごろ、成功にはいたっていない英国のBeagle2ミッションの責任者であるコリン・フィリンジャー博士は、有人ミッションを開始する前に、火星に生命が存在するかどうかを確認する必要があると指摘している。つまり、地球人が他の惑星に干渉したり混入することが許されるかどうかを見極める必要があるが、個人的には反対の意見を表明している。

ExoMarsミッションのローバは太陽電池による発電で、火星表面を数キロメートルまで移動可能である。そして自律的に作動させるためのソフトウェアを導入し、Beagle2と同様に、過去や現在でも火星に生命が存在している(いた)のか、その痕跡を探査する。

「火星サンプルリターン」ミッションはさらに複雑な構成となり、5つの宇宙船を必要とする。惑星間輸送、火星軌道周回、降下モジュール、上昇モジュール、そして地球大気圏再突入カプセルである。モジュールには、土壌サンプルを採取するための掘削用ドリルが必要とし、土壌サンプル約500グラムを持ち帰る。

(編集者コメント:(ロケットと衛星という意味の)宇宙開発先進国である日本が、今後目指す宇宙開発の方向性の中に、有人宇宙や有人火星ミッションを含むかどうかの結論を出すまでには、農耕民族を祖先にもつ日本人と、狩猟民族を祖先にもつ欧米人との”遺伝子的”違いを克服する必要がある。つまり、開拓者精神の有無とその程度、そして開拓行為の評価の違いということである。米国のシャトルコロンビア事故や過去のチャレンジャ事故で多くの宇宙飛行士が死亡しているが、開拓者の世界では、「名誉」と「敬意」が彼らに与えられ、彼らの死を無駄にしないためにも更に進もうとする。日本の精神構造だと、「不遇」、「不幸」、「不運」と見られ、関係者の責任が追及され、永久に有人宇宙は封印されてしまう。「開拓」には必ず犠牲を伴うが、祖先に開拓者をもたない日本文化の中で、有人宇宙探査を正当化するための道筋は生易しいものではない。欧米諸国から見た場合、日本は「開拓者」を後方支援する立場を取るという見方が一般的である。)