2004-01-28 衛星画像で倒壊建物を解析:速さは手作業の2千分の1

 地震前後に撮影した衛星画像を利用し、家屋の倒壊状況を自動的に識別するシステムを東京工業大の小杉幸夫教授らのグループが開発、28日発表した。人力で画像を分析するのに比べ、約2000分の1のスピードで処理できるといい、被害状況の素早い把握や、スムーズな救援活動の着手などに役立ちそうだ。

 建物は倒壊すると屋根などの直線的な輪郭が崩れ、複雑な形に変化する。システムは地震前の画像と地震後の画像をコンピューターで比較し、こうした形の複雑さの変化や、色情報の変化などが検出された部分を「変化域」として抽出。これに地震前の画像から取り出した建物の状況と重ね合わせることで倒壊建物の分布状況が表示される。

 グループは昨年末に発生したイランの地震前後に撮影されたバム市の衛星画像を使いシステムを検証。バム市市街のほぼ全域(約22平方キロ)を解析するのにかかった時間は15分。手作業の約2000分の1の時間で、ほぼ正確に倒壊状況の把握ができたという。(京都新聞)