2003-12-17 世界初の宇宙ごみ観測施設が人形峠に完成(本文

 鳥取県三朝町に隣接する岡山県上斎原村で、有人宇宙活動の邪魔になるロケットの破片など、いわゆる宇宙のごみ(宇宙デブリ)をレーダーで観察する世界初の施設・上斎原スペースガードセンター(KSGC)が完成し、来年四月からの本格稼働を前に十七日、公開された。

 役目を終えた人工衛星や衝突して壊れたロケットの一部など宇宙デブリは、十センチ前後の大きさを含めた約九千個が地球を周回している。秒速八キロ近い速度で飛び、人工衛星やシャトルに衝突する危険性がある。将来、有人宇宙活動が本格化した時代には大きな脅威となる恐れがある。
 危険を避けるには、宇宙デブリの軌道や速度を知っておく必要があり、文部科学省の外郭団体・日本宇宙フォーラム(本部・東京都港区)が、総事業費約二十八億円をかけて、一九九八年度から岡山県の上斎原村と美星町で整備を進めてきた。

 KSGCは、核燃料サイクル開発機構・人形峠環境技術センター敷地内の丘陵(標高約七五〇メートル)に、高さ十三メートルのドームを約二十億円で建設した。
 ドーム内には、約千五百個の送受信モジュールを埋め込んだ三メートル四方の空中線放射部(アンテナ)を設置。この装置は遠隔操作で、地表から六百キロ離れた直径一メートルの物体が観測できるという。

 KSGCは望遠鏡を使った美星スペースガードセンター(BSGC)と一体で活動し、両施設が観測した観測時間や宇宙デブリの位置、高度、軌道傾斜角度などのデータは、茨城県つくば市にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)に送信。JAXAが宇宙デブリの軌道を割り出し、衝突の可能性がある人工衛星などに警報を出す。(山陰日報)