2003-02-12 宇宙創生の謎に迫る、巨大実験装置による計画を公表

 全長30キロの直線のパイプを地下に埋めた巨大装置を日本に作り、宇宙創生のなぞを探る実験計画を、日本をはじめとするアジア地域の物理学者グループが12日、茨城県つくば市で開かれたシンポジウムで公表した。建設費は約4950億円。実現すればノーベル賞は確実とされるが、ほぼ同じ計画を米独それぞれのグループも進めており、日本グループは国内での早期建設に向け政官界への働きかけを強めていく。

 公表されたのは「リニアコライダー」(線形衝突型加速器)と呼ばれる実験装置。プラスの電気を帯びた粒子「陽電子」とマイナスの「電子」をそれぞれ直線状パイプの両端から注入し、中央部に向かって光速近くにまで加速して衝突させる。その際の膨大なエネルギーで、宇宙が「ビッグバン」で誕生して約1兆分の1秒後の空間を再現する。

 現在の理論では、誕生直後の宇宙空間には重さのない粒子だけが充満していたが、宇宙が膨張する過程で突然、「重さ」が生まれたとされている。リニアコライダーはこの瞬間を再現し、「すべての物にはなぜ重さがあるのか」という科学上の大問題に決着をつける。2007年に建設開始、12年の運転開始を目指している。

 地質調査などをもとに選定された候補地は以下の通り。

 ▽「日高」(北海道)▽「北上」▽「村上」▽「阿武隈・北茨城」▽「愛知・岐阜」▽「東広島」(以上本州)▽「高松」(四国)▽「背振」(九州)(読売新聞)