初期の宇宙飛行士はほとんどがパイロット出身で心身共に優れていた。とくに視力もまったく問題がなかった。しかしながら時代が進むにつれ、現在の宇宙飛行士の中には中年の科学者や技術者も多く参加している。そして彼らに共通して問題となるのが老眼である。
宇宙ステーションやシャトルの中では様々な文字や文章を読むみ必要が有る。当然、老眼のレベルにもよるが、必要な対策を講じて問題無く文字を読める状態が要求される。
NASAは、ある民間企業が開発した焦点調整可能老眼鏡の採用試験を行っている。重要なチェック項目は、この眼鏡を燃やしても有害なガスを発生しないことである。
仕組みは比較的簡単である。レンズは厚みが3ミリ程度の2層で構成されており、各層は磁力で接着している。商品名「TruFocals」として昨年から一般市場で販売されているこの眼鏡の優れている所は、2層の内、外側は通常の透明なハードレンズであるが、内側、つまり眼球側の層には、透明な伸び縮みする薄膜が張られている。この膜とレンズの間には液体シリコンが注入されている。丁度、ガラスに水を張ってビニールシートを接着させる方法と同じ原理である。
ある特殊メカニズムでこの内側のソフトレンズの厚みを調整することで、網膜への焦点を調整できる。つまり老眼の程度や目と文字との距離に応じて眼鏡を調整できるのである。 値段は9万円で販売されている。
