2006-12-28 NASA構想、2024年に「月面基地」 世界が注目

 2020年までに再び月に人類を送ることを目指している米航空宇宙局(NASA)は4日、月面基地を極点に建設する構想を打ち出した。

 アポロ計画では到達することが目的だったが、月への植民にも道を開く恒久的な基地建設を初めて明確にした。日本、中国、ロシアなど13カ国の宇宙機関も関心を寄せており、国際宇宙ステーション後の国際的な宇宙開発プロジェクトに発展する可能性が出てきた。

 有力な建設候補地は、南極点付近にある直径約19キロの「シャクルトン・クレーター」外縁部の高地。4つの居住棟や太陽光発電装置、食糧や機器を保管する倉庫、酸素発生器などから成る施設群を建設する。

 この場所は、人工衛星による観測などから水か氷の存在が期待されている上、1日の70%以上の日照時間があり、太陽光発電に最適だという。

 当初は4人の宇宙飛行士が1週間程度滞在できる拠点を作り、次第に拡大して、24年ごろには6カ月連続で滞在できる基地の完成を目指す。基地は有人火星探査への前線基地の役割も果たす。

 同時に発表された研究構想では、通信網の整備や基地外で働くロボットの開発、鉱物資源の利用など、月面で生活するための内容が含まれる。

 NASAは、ブッシュ大統領が04年に、月に“帰還”する新宇宙政策を発表して以降、月で具体的に何をするか検討してきた。予算については今後の課題としている。(共同)