2006-02-21 NASA、月面基地用小型原子炉技術に注目:JAXAと協議

NASAは、将来の月面基地で必要とされるエネルギー源として原子力の応用を検討しているが、そのなかでも日本の小型原子炉技術に注目を示している。

NASAのグリフィン長官の考え方としては、米国の宇宙ミッションを効率的に実行するためには、海外の技術や資産を積極的に利用してゆく姿勢を取っている。そのなかで日本については、昨年秋に日本を訪問した際に、JAXAとこのアイディアについて意見交換を行った。JAXAは最新の宇宙開発方針を示す2005/3月発行の「JAXA2025」において、月面基地の電力供給技術分野を開発対象分野として挙げている。

その中で、日本は2つのエネルギー源確保の方向性を示している。一つは太陽光発電衛星。太陽光を衛星で受けて、高周波に変換し、目的地に送信して再びエネルギーに変換して電力確保するというものである。JAXAは京都大学を共同で開発を進めているが地上で25ワット程度の伝送実証試験を行っている。三菱重工はさらに大型の100Kw級の技術実証衛星を計画している。

しかしながら、NASAが興味を示しているのは、月での原子力発電である。グリフィンによると。技術者チームが昨年日本を訪問し、日本の小型原子力開発の視察を行ったとの事。そのときにNASAとエネルギー省の関係者は月面原子力発電について日本から簡単な説明を受けた。

エネルギー省アルゴン国立研究所、フランスの原子力エネルギー委員会と共同で作業を進めている日本の研究者らはナトリウム等の液体金属を冷却材として使用している高速中性子原子炉を研究している。研究には、月面に応用可能な200Kw級のリチウム冷却式原子炉も含まれている。この原子炉はRAPID-Lと呼ばれている。(Aerospace Daily & Defense Report)