2005-12-21 日の丸ハイテク宇宙服 月面有人探査用に開発

 有人宇宙活動の技術開発を進めている宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は、オールジャパンの技術力を結集し、月面でも活動できるハイテク宇宙服を開発する検討を始めた。年内にも各省庁や企業、大学の研究室に参加を呼び掛け、米国が構想する二〇一八年からの月面有人探査に新しい宇宙服の技術で参加することを目指す。

 日なたで一二〇度、日陰で零下一六〇度という極端な温度変化、強い宇宙放射線、飛び交う微小隕石(いんせき)など過酷な環境から人間を守る宇宙服は、小さな宇宙船といわれる。現在、宇宙船外で着用する宇宙服の製造技術を保有しているのは米国とロシアだけだ。

 開発の最終目標は、現在米国製で約百二十キログラムある宇宙服を二十キログラムまで軽量化し、生命維持機能も強化して一週間の連続使用ができるようにする。真空でも宇宙服内部の気圧を地上と同じにするため、強度と柔軟性を兼ね備えた構造にする。

 耐熱性のある消防服や原子力事故を想定した放射線防護服、対テロ用の防弾チョッキなど、他分野で培われた素材を活用。力強い動きを助けるロボット技術や眼鏡のように身に着けて情報を表示するコンピューターといった、企業などが持つ最新技術も取り入れる。

 開発は二段階。まず、〇七−〇八年に国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられる日本実験棟「きぼう」の船外部を舞台に、機器の出し入れなどに使う船外活動用の宇宙服を試験運用する。それを踏まえて一四年以降に、月面活動用の実用化に着手する。

 ■宇宙服の開発を取りまとめる柳川孝二・宇宙航空研究開発機構有人宇宙技術部長の話 身の回りに既にある技術でも、日本が得意としている分野で技術力を結集できれば、米国やロシアに勝てる宇宙服が作れるのではないか。われこそはという研究者、企業に、ぜひ開発に参加してもらいたい。(中日新聞)