2005-07-26 『北』偵察に無人機導入:防衛庁方針 MDの『探知』補完へ

 弾道ミサイルを迎撃するミサイル防衛(MD)システムの一環として、防衛庁は無人偵察機を導入する方針を固めた。来年度予算の概算要求に調査研究費を計上する。旅客機並みの大型機となるため、墜落時の被害が最小になる小笠原諸島の硫黄島が発進基地となる見通し。二十六日から始まる六カ国協議の成否に関係なく、北朝鮮監視を強めることにしている。

 防衛庁が想定する無人偵察機は、地対空ミサイルの届かない地上から二十キロの高高度を長時間飛行する滞空型無人機。公海上空から北朝鮮内陸部のミサイル基地を観測、ミサイル発射時の熱を赤外線センサーで探知し自衛隊に伝える。

 このほか、光学カメラと、夜間や悪天候時に使う合成開口レーダーも無人偵察機に搭載され、他国の軍事施設を撮影したり、洋上の工作船を追跡したりすることが可能。防衛庁の情報収集手段は、通信施設を活用して他国の軍事通信を傍受する「耳」の機能しかなかったが、初めて独自の「目」を持つことになる。

 防衛庁が二〇〇四年度から導入を開始したMDシステムは、弾道ミサイルの発射情報を米国の早期警戒衛星(DSP)に全面的に頼らざるを得ないため、自前の探知方式を模索していた。

 同庁技術研究本部は既に「高高度無人機システム」と呼ばれる滞空型無人機の研究を進めており、一二年度までに二機を試作する計画がある。

 だが、MDシステムのうち地上発射型の迎撃ミサイルPAC3の配備が〇七年三月に迫っており、「国産の無人偵察機では時間がかかりすぎる」として、米国の滞空型無人機「グローバルホーク」導入を求める声が庁内から上がっている。

 防衛庁は来年度、無人偵察機の要求性能をまとめ、候補機種などを選定する予定で、輸入、国産のどちらの無人機を軸に研究を進めるか絞り込む作業に入っている。(東京新聞)

Global Hawk