2004-01-04 ブッシュ大統領、ISS研究見直し:将来ISSから脱退も視野(スペースレフ)

米国による国際宇宙ステーションにおける科学的研究は、ブッシュ大統領の新しい宇宙政策では、完全に見直される予定である。水曜日(米国時間)発表予定のブッシュ政権の新しい宇宙政策では、有人宇宙探査に重点を置いた内容となる見込みである。そのなかで、月ミッションを積極的に実行し、最終的には火星と小惑星有人探査を視野に置く。米国が保有するステーション施設はこの目的達成のために利用される。

高官筋によると、スペースシャトルが人間を宇宙に輸送するための新しい輸送手段にバトンを渡すように、ステーションは、有人探査により重点を置いた利用に切り替わることになる。

現在進行中、あるいは計画中の研究活動は縮小されるか中止される。今後の重点研究テーマは、火星等への宇宙飛行に必要な長期宇宙滞在を安全且つ効果的に実現するために焦点を当てた研究が実施される予定である。

現在米国の宇宙研究テーマとしては、材料科学や物理、そして生命科学分野である。1984年にレーガン大統領によって開始されたステーション計画は、その後の時代の変化とともに変遷を遂げ、現在に至っている。その間、冷戦構造の終焉、ロシア経済崩壊、ステーションコスト超過、建設スケジュールの遅延といった様々なマイナス要素が働いた時代でもあった。欧州、日本、カナダ、ロシアといったステーション参加主要国は、新しいブッシュの宇宙政策によってステーションでの研究活動を大きく方向変換を強いられるのは必至と見られている。

長期有人宇宙探査に直接関係の無いステーションでの研究テーマとしては生命科学があるが、直接有人惑星探査に関係が無ければ削減されるか中止されることになる。

中止されると見られている研究テーマには、材料科学、非人間生物学、植物生理学、細胞培養実験などが含まれる。ただし、どれもステーションでの実験が中止されることを意味しておらず、むしろ米国以外が保有するステーションの実験装置を使用して継続される可能性が高い。

情報筋によると、ステーションプログラムの変更によってNASAの研究分野である天文学、物理学や地球科学といった分野の研究活動には影響を与えないと見ている。一方で、米国が宇宙環境への人間の適応能力について明確な答えを発見したあかつきには、おそらく2013年ごろに米国はステーションプログラムへの参加を終了する可能性がある。