2003-09-10 人工生態系の研究中止へ 居住実験バイオスフィア2の巨大温室

米コロンビア大は9日、外界から切り離された人工生態系の中で、人間が長期間生活する実験で注目された米アリゾナ州の巨大温室「バイオスフィア(生物圏)2」の管理から今年末で撤退することを明らかにした。
 バイオスフィア2はテキサス州の富豪エドワード・バス氏が、約2億ドルを投じて建設した総面積約1万3000平方メートルの施設。1991年から93年にかけ、8人の男女が閉鎖空間の中で自給自足の生活をする実験を行ったことで知られる。
 「人間の宇宙生活の先駆け」などと宣伝された巨大施設が、宙に浮く形となった。
 コロンビア大は、ずさんな研究管理などが原因で居住実験が失敗した後の96年にバス氏側との契約で管理権を取得。人工生態系で地球温暖化が生物に与える影響などを研究する施設として、2010年まで運営を行うことになっていた。(共同通信)