2003-05-28 国産航空機、開発研究盛り込む:文科省分科会

 文部科学省の科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会は28日、低コストでかつ環境汚染の少ない小型国産航空機の開発研究などを盛り込んだ報告書をまとめた。国の航空宇宙3機関が統合して今年10月に発足する独立行政法人「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」の今後5年間の航空分野の事業計画に反映される見通し。日本最初の民間旅客機「YS11」以来、半世紀ぶりに国産機の開発が本格化しそうだ。

 同分科会ではこれまでの論議で、従来の国内の航空技術開発は、研究者の関心に沿って進められ、社会への貢献意識が不十分だった、との反省の声があがっていた。

 その点を踏まえ、報告書は、社会からの要請に応えたり、日本が得意とする基盤技術の開発研究が今後重要になると強調した。

 具体的には、政府や民間が協力し、今後5年間で、ローカル線などで利用される30〜50席の小型航空機の開発を進め、試作機をつくることを提示した。低コストで、かつ窒素酸化物(NOX)や二酸化炭素(CO2)の排出が少ない環境配慮型のエンジンを搭載し、操縦の容易さも売り物にするという。

 また、日本が得意とするコンピューター計算を駆使して、完成までに数年かかる航空機の設計を半年程度に短縮することを目指す。

 一方、日本と米国東海岸を4時間で結ぶ次世代超音速旅客機(SST)の開発は、資金難や騒音問題のために、日米欧とも作業が遅れており、当面、開発を凍結する考え方を示した。ただし、年度内に行うことが決まっている実験は実施し、基礎研究も機体の軽量化や排出ガスの低減に役立つとして継続する。(毎日新聞)