十年ほど前にDARPA(国防総省高等研究計画局)は新しい種類のレーダアンテナを考案していた。アクティブ電子走査式アレイレーダ(AESA)の発明はすでに革命的な監視技術ではあったが、単一のレーダアンテナを数百の送受信(T/R)モジュールに変えることで、DARPAとしてはT/Rモジュールのサイズを小さくすることを希望していた。
長さが7.62cmだったものをマイクロチップのサイズに縮小することを希望していた。その装置はライトフット(Lightfoot)と名前が付けられた。
Lightfootチップ一つで、モジュールサイズのT/Mの出力の10分の一の信号を発した。このチップは安価で軽量で、しかもより柔軟な材料で作られ、事務所ビルよりも大型のAESAアレーを組み立てることも可能となった。
レーダ信号の強度は出力と開口サイズの関数で決まる。このような大型のアンテナは300キロメートル以上離れたところから歩いている人間を認識することもできる。
しかしもっとも一般に知られているLightfootレーダ技術の応用分野としては、不運な宇宙利用レーダプログラムのように姿を消してしまった。
一方で、革新的な応用分野がロッキードによって開発が進められている。総合センサー構造(Integrated Sensor is Structure:ISIS)飛行船計画である。
ISISとは、国防総省の予算書に記載されている内容によれば、”空前の調和のとれたレーダ群”であるとされている。実際の飛行船のレーダの開口面積はなんと6000平方メートルである。
比較のために、現在空軍が保有する最大のセンサーである地上面の移動体目標探知システム(ノースロップグラマン社のE-8C監視目標攻撃レーダシステム-joint surveillance target attack radar system :JSTARS)の開口面積は5平方メートルである。
XバンドとUHFアンテナが飛行船の中に組み込まれ、最低でも10年間は着陸なして高高度から監視が可能となる。ISISには燃料電池に充電するための太陽電池が使われ、センサーと飛行船推進システムに使われる。ISIS飛行船を極端に軽量化するために新しい複合材ラミネート構造を採用する。全体の質量に対してセンサーの質量の割合は30パーセント程度である。
センサーは、Xバンドが地上や空中の移動体を監視し、UHFは静止してネット等でカモフラージュして隠れている目標を監視する。
DARPAは2005年にISISプログラムを開始したが、USAFが引き継ぎ2014年にふたたび開始される。
2009年、ロッキードのスカンクワークスとレイセオンのレーダ技術者チームは、競合するノースロップグラマンチームと競り合い、縮小版実験機開発で400Mドルの契約を勝ち取った。
技術実証機の処女飛行は2013年後半に予定している。実証実験は2015年以降も継続されるが、USAFとてしては実物大実証機の開発予算は獲得できていない。
