2009-08-01 4基の衛星トラブル、次は教訓生かす

 大学や民間企業が開発した6基の小型衛星が今年1月、H2Aロケットで打ち上げられてから半年が過ぎた。

 宇宙航空研究開発機構が公募し、大型衛星に相乗りさせた初の試みだったが、交信が途絶するなど4基が厳しい試練に見舞われた。それでも「教訓を生かして次こそは」と開発熱は高まる一方だ。

 東大阪宇宙開発協同組合の「まいど1号」と東京大の「ひとみ」は、すべての実験を成功させた。まいど1号は宇宙機構の全面的な支援を受け、ひとみも東大3基目の小型衛星で、豊富な経験が成功につながった。
香川大の小型衛星「KUKAI」

 一方、香川大の「KUKAI」は、親機と子機が5メートル伸ばせるひもでつながった親子衛星で、分離・合体の実験を行う予定だったが、ひもが数センチ〜数十センチしか伸びず、巻き取り機能の不具合で合体もできなかった。

 都立産業技術高専の「輝汐(きせき)」は打ち上げ3日後に交信が途絶え、コントロール不能に。検証の結果、コンピューターの誤動作と判明した。東北大の「雷神」も当初順調だったが、12日後に姿勢制御用の金属棒を伸ばしたところ、交信できなくなった。太陽電池パネルに金属棒の影が落ち、予想以上の電圧低下が起きたらしい。情報システム会社ソラン(東京都)の「かがやき」は打ち上げ後、全く交信できない状態が続く。

 しかし、失敗の中で自信を深めたという声は多い。

 香川大の学生は「力を注いだロケットへの搭載技術を確立できたのが最大の収穫。次からは衛星本体の開発に全力投球できる」と喜び、都立産業技術高専の石川智浩・准教授も「プログラム書き換え機能などを付けて次は万全を期す」と意気込む。東北大の吉田和哉教授は「順調だった運用当初より、トラブル後の方が勉強になった。すべての教訓を計画中の2号機に生かす」と意欲をみせる。(読売新聞)