20047-04-09 渡り鳥1万キロ無着陸 衛星で追跡 オオソリハシシギ世界記録

 オオソリハシシギという渡り鳥の一種が、ニュージーランドから中国や韓国まで一万キロ以上を無着陸で飛行することが、米地質調査所や英国の鳥類保護団体、バードライフ・インターナショナルなどのグループによる人工衛星を使った追跡調査で、九日までに確認された。グループによると、これは鳥の無着陸飛行の世界記録だという。

 オオソリハシシギは、米アラスカ州や北東アジアで繁殖し、冬にはオーストラリアなどの南半球に渡る。渡りの途中に日本に立ち寄ることもあり、日本の干潟でも目撃されるという。

 グループは三月十−十四日、ニュージーランドで、北半球に向かう直前の鳥に小型の発信機を装着し、人工衛星で飛行ルートを追跡した。

 すると四羽のオオソリハシシギが、一週間ほどかけて一万キロ以上を飛び続け、韓国や中国北部の河口域の干潟などに飛来した。最長距離を飛んだのは中国・鴨緑江の河口に到達した一羽で、約一万二百キロだった。

 これまでの調査でオオソリハシシギは、南下する際に追い風に乗って長距離を飛ぶことが知られていたが、追い風がない北に向かう旅でも、非常に効率良く、長距離を飛べることが分かったという。

 米地質調査所はアメリカシロヅルやカモ類などほかの渡り鳥についても同様の調査を実施、鳥のルートや現在位置などをインターネット上で公表している。

 同様の研究やプロジェクトが進んでいるテルアビブ大のヨッシ・レシェム博士は「インターネットを使って鳥の渡りの状況をリアルタイムで知らせ、鳥には国境がないこと、保護のためには国際協力が重要であることを理解してもらいたい」と話している。(東京新聞)