2006-03-06 スペースエックスドラゴン、米初の民間有人宇宙船開発(Keith Cowing, SpaceRef Representative)

米スペースレフ代表者の一人である宇宙ジャーナリスト及びアナリストのKeith Cowingがとんでもない記事を掲載した。

スペースエクスプロレーションテクノロジーズ(いわゆるSpaceX)社が、独自の有人宇宙船を開発しているというもの。たしかに彼らは開発を初めてから数年が経過している。宇宙船の名前はなんと「ドラゴン」。

この宇宙船は単に人間を地球低軌道に運ぶだけではなく、軌道まで物資を輸送するために往復もするというもの。

SpaceXとしては、1月にNASAが発表した提案公募プログラムの民間軌道間輸送サービス (Commercial Orbital Transportation Services:COTS)の入札に参加してビジネスを獲得するために使用するためだけに開発をしたのではない。なぜなら、このシステムはCOTSが発表される以前からすでに開発がスタートしていた。

この宇宙船は、SpaceX設立者であるエーロン・ムスクが宇宙に人間を運ぶことを目指した最初の計画からさらに発展したものである。その計画とは、5年ほど前にムスクが当初小型のロボット型宇宙船を火星に送るという自分自身の宇宙ミッションを考えていたときにすでに発表していた。

ドラゴン、ISS国際宇宙ステーションにドッキング

ムスクが宇宙船やロケットを購入しようと本気で検討した結果、結局は目的を達成するためには自分で宇宙船とロケットを作ってしまうことが最善の方法であるとの結論に達した。

「ささいな額ではない」といつもムスクが表現しているように、手に入れた資産は、彼自身によるミッションを開始できる立場にすでに置かれたいた。PyaPalといったドットコムビジネスから手に入れた資金で、ムスクはミッションを開始するだけではなく、ミッションを実現するために必要な会社全体を設立したし、さらに顧客向けに打上げサービスも行える以上の資金も手に入れている。

火星に向かうことが彼の脳裏に渦巻いている一方で、ムスクは明らかに事業によって会社が利益を上げるためには利用料金を支払う顧客の必要性も認識してきている。一石二鳥を狙う一つの方法として、衛星回収システムを作り上げることであった。不具合を発生した衛星を地上に回収し、修理して再び宇宙に送り返すシステムである。同時にムスクはこのシステムをより複雑で安全性が要求される有人宇宙システム開発の一部として開発することを決断した。

もともと「マジックドラゴン」と呼ばれていた宇宙船は、このシステムの設計過程から生まれた来た。現在では単に「ドラゴン」と呼ばれている。参考までに、マジックドラゴンは、1960年代にヒットしたポップソングから取った。(編集者コメント:たしかピータ・ポール&マリーという三人のフォークソングシンガが歌っていたような・・・)

ここ数年の間にSpaceXの施設を訪問した人々は気がついたと思うが、ロープが張られているエリアがあり、近づくことができない場所に、大きな何かが覆いかぶされていることに気が付いたであろう。このカバーの下には過去数年間の間に開発製造されたドラゴンのプロトタイプが隠されている。

ドラゴンの初期設計では、DC-Xのノーズのような形をしていた。さらに煮詰められ、ISSへの物資と人間を輸送するたの要求条件が取り入れられるなどの変遷を経て、ドラゴンのデザインは修正され、徐々に従来型の角度15度のスロープの円錐形カプセルに近い形となっている。

設計では最大7人が乗り込め、物資と人間の混載も可能。そして可能な限り再使用型カプセルとなっている。カプセルの打上げには、SpaceXが開発しているFalconロケットの大型版で打上げ可能なように設計されている。