2005-12-16 宇宙エレベータ開発競技2006年の詳細発表:賞金3倍に

2005年にNASAエイムズ研究所で開催された宇宙エレベータ競技に続き、2006年でも宇宙エレベータ開発競技が開催される。その詳細が先ごろ発表となった。発表したのはスペースウォード(Spaceward:宇宙へ!)財団法人。シリコンバレーの中核に位置するマウンテンビューで来年8月4日に開催される。

2005年の最優秀チームはブリティッシュコロンビア大学(カナダ)とサスカチェワン大学(カナダ)であった。2006年の競技には既にMIT,MTU、バージニアテック等を含む多くの大学が興味を示しており、2005年には見学だけであったが全チームが参加している。

宇宙エレベータ競技は二つの課題で構成されている。一つはパワービーミング(無線送電)で二つ目はテザー(つなぎ綱)利用。これらの課題は軽量且つ高強度のつなぎ綱材の開発と、無線送電技術の開発に焦点を当てている。この二つの技術は宇宙エレベータ開発には欠かせない重要な技術と見られている。

テザー競技部門では軽量でしかも信じがたいほどの強度を持つ材料の開発に焦点を当てる。この競技では、各チームはより強度の強い材料を開発したチームが優勝する。

ビームパワー競技部門では、広範な宇宙探査にも利用可能な無線送電技術の開発に焦点を当てる。この技術は有人月探査や長期火星探査にも応用可能である。各チームは無線送電システムを開発し、送信器、受信装置を含む。高さ50メートルのケーブルを遅くとも秒速1メートルで移動しながら最大の重量を持ち上げる輸送ロボットに電力を供給する技術を開発する。

2006年の賞金総額は40万ドル(4千万円)。NASAの100周年記念挑戦プログラムから提供される。NASA100周年(NASA's Centennial Challenges)は賞金獲得競争を通じて革新的な技術開発を促進することを目的とする。そしてブッシュ大統領の宇宙探査ビジョンとNASAの目標達成を支援するために革新的なアイディアを発掘し、国家的な創意を刺激する目的も持っている。

宇宙エレベータの概念は1960年代に発表され、それ以来急激な進歩はなかったが、近年の材料工学や電力送電技術分野で新技術開発が進み、にわかに実現性が注目され始めている。もし本当に完成するのであれば、宇宙エレベータは軌道まで衛星を打ち上げることが出来る最も安全且つ低コストの打上げ手段となる。