2004-08-11 初の月探査衛星断念も 計画から13年、宇宙機構

 宇宙航空研究開発機構は、1991年から150億円をかけて開発してきた日本初の月探査衛星ルナAについて、来年以降としてきた打ち上げを断念する可能性も含めて計画を見直していることを、11日の宇宙開発委員会に報告した。
 上空から月面に打ち込むやり形の観測装置「ペネトレータ」などに課題が見つかり、計画を進めるにはさらに約3年の期間と約20億円の追加費用がかかるため。9月中に結論を出す。

 ルナAは、月を周回する母船(衛星本体)と、地震計などを搭載したペネトレータ2本からなる。当初は95年に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)からM5ロケットでの打ち上げを目指していた。

 しかし、M5の開発遅れなどもあり計6回打ち上げを延期。火星探査機のぞみの失敗などを受け宇宙機構が進めた総点検で、完成させるには、母船とペネトレータとの通信方式を改善し、ペネトレータの貫入実験をさらに繰り返すなど必要があるとした。(共同通信)

日本初の月探査衛星として開発中の「ルナーA」について、宇宙航空研究開発機構は11日、観測装置に不具合が見つかったため、計画を抜本的に見直す、と宇宙開発委員会に報告した。これまで打ち上げ予定時期が当初の95年から計6回延期され、開発費は約230億円投じられている。宇宙機構は来月までに、打ち上げ中止も含め、結論を出す方針だ。

 ルナーAは旧・文部省宇宙科学研究所が91年から開発。衛星の母船から地震計などを積んだヤリ形の観測装置(高さ80センチ、直径16センチ)を月面に打ち込み、内部構造を調べて、月の起源と進化を探る計画だ。

 宇宙研を引き継いだ宇宙機構は、昨年秋から相次いだ火星探査衛星「のぞみ」や地球観測技術衛星「みどり2号」の失敗を受けて、開発中のすべての衛星を総点検した。その結果、ルナーAの母船とヤリ形の観測装置を結ぶ無線回線に問題があり、通信時間を十分確保できない恐れがあることが分かった。月面に打ち込む衝撃に耐えられるよう、観測機器のバックアップ措置も必要で、これらの改良に3年と約20億円の追加費用がかかると判断した。

 同機構は「さらなる時間と経費が必要で、計画断念も含め、検討せざるを得ない」と説明している。近く、外部委員を含む検討会を設け、来月までに結論を出す予定だ。

 ルナーAは今年3月にも、搭載する米国製器具に不具合が見つかり、今夏の打ち上げ予定が6回目の延期となっていた。(asahi.com)