2003-09-28  有人宇宙船「神舟5号」打ち上げについて語る・ロケット専門家

有人宇宙船「神舟5号」を搭載する予定のロケット「長征2号己」の打ち上げで採用している核心技術はすでに、中国独自の知的財産権となっている。今回の「神舟5号」の打ち上げはまさに、中国人の「宇宙への夢」の実現に向けたもの。宇宙船はどのような発射台を利用して打ち上げられるのか。宇宙船にはどんな特殊技術が採用されているのか。打ち上げが10月に選ばれたのは何故か。中国運搬ロケット技術研究院の専門家に聞いた。

◇「長征2号己」で打ち上げるのは何故か

一般的に言って、どのような型のロケットを選択して宇宙船を打ち上げるかについては、宇宙船の実際的な状況がその前提条件となる。 「現在、打ち上げ準備は着々と進んでいるが、宇宙船の機械のつなぎ面の寸法や、ボルト孔の口径の大小、電気性能の接続状況などを考慮して今回、「長征2号己」を採用することにした」。

◇宇宙船の絶対的な安全をいかに確保するのか

宇宙船の安全は、製造やロケットによる打ち上げ、回収の過程なども含め、高度で複雑なシステム・エンジニアリングである。ロケット1基だけでも10数万の電子素子で構成され、ネジ1個でも打ち上げそのものの勝敗に係わっている。

「宇宙航空業界ではすでに、品質管理をコントロールするかなりキメの細かな制度が設置されている」。

宇宙船が軌道に乗ってからは、宇宙空間にあるチリとの衝突を有効防止する問題が極めて重要となってくる。

「今のところ、世界各国もこの問題を回避するための特別な措置は講じておらず、現在使用されている技術にも限界がある。だが、神舟5号ではハイテクを採用して、宇宙の砕片を臨機応変に避けられるよう確保した」。

◇打ち上げの成功率はどれほどか

運搬ロケットの研究開発は技術的に非常に複雑である。

「宇宙船は我々自身が設計、開発した『自己創造型』の宇宙装置であり、採用している一部の技術は世界でも先進的レベルにあり、核心となる技術では知的財産権も擁している」。

「運搬ロケット『長征』は過去30年の間に、常温推進から低温推進、直列接続からパッキング、1基単一衛星から1基複数衛星、衛星から宇宙船の打ち上げまでの技術過程を経て、地球至近軌道や太陽同期軌道、地球同期軌道シフトなど様々なタイプの衛星を発射できる能力を備えてきた。今回の有人宇宙船の打ち上げは、わが国の航空宇宙の発展計画で重要な地位を占める。運搬ロケットの研究開発は比較的早くから行われたため、技術も相対的に成熟しており、成功率は世界の先端レベルを誇る。知的財産権を擁するハイテク製品も設計上、世界一流のレベルにある」。

◇安全な帰還にとって必要条件とは

「運搬ロケットの打ち上げを毎回成功させるため、宇宙関連機関では「全職員・全過程品質監督」制度を厳格に実施してきた。ロケット製造の各段階、アルミボードの工場入荷から部品製造に至る各工程で厳しい検査と監督が行われ、一般技術者から総指揮者までが技術と品質に対して相応の責任を担ってきた」。

「10月の清々しい天気は、宇宙の技術作業に最適である。宇宙船の回収作業は捜索や救出、着地した際に宇宙船室の一定温度を確保する措置などを含め、膨大なシステム・エンジニアリングであり、原則的には、夜間より昼間のほうが突発事態に対処しやすい」。 (チャイナネット)