2003-02-27 シャトル事故の可能性、技術者が1日前に警告メール

米スペースシャトル・コロンビアの空中分解が起きる1日前、事故が起きる可能性を懸念した米航空宇宙局(NASA)の技術者や管理職が、実際起きた事故に近いシナリオを警告する電子メールをNASA幹部に送っていたことがわかった。NASAが26日、発表した。

メールを出したのはバージニア州ラングレーにあるNASAの研究所で働いているウィリアム・アンダーソンさんら。アンダーソンさんはNASAの下請け企業、ユナイテッド・スペース・アライアンスの職員だ。

アンダーソンさんら技術者・管理者グループは、メールや電話での討論を通じて、シャトルの着陸時に事故が起きる危険性があるとの結論に達し、着陸予定前日に警告を出した。アンダーソンさんは「なぜこんなことを、打ち上げ翌日ではなく、着陸予定の前日に議論しているのか」などと書いている。

またジョンソン宇宙センターのジェフリー・クリング管制官も、着陸予定23時間前にメールを出し、大気圏突入の際、車輪格納部分に超高温の空気が流れ込んだ場合の危険性を指摘している。

この指摘は、現時点での事故シナリオにかなり近い。翌日、クリング管制官は実際に、シャトルに起きた突然の異常を最初に報告することになる。

今回の事故の前には、アンダーソンさんがいる同じ研究所の技術者、ロバート・ドーティさんが異常な高温が車輪のタイヤ破裂などを招く恐れがあることを事前に警告している。

26日に発表されたメールは、NASA技術陣の中で、これまで考えられていた以上の範囲で事故の危険性が検討されていたことを示している。メールの中にはドーティさんの上司や、同研究所の幹部が書いたものもある。

メールの1つは「ジョンソン宇宙センターの職員が、このメールに注意を払ってくれることを祈るのみだ」と書かれていた。(AP)