2003-03-01 小惑星接近を知りたいか否かを議論

「壊滅的被害をもたらす小惑星が地球に接近していることがわかった場合、一般大衆は、それを知らされるべきだろうか?」。2月、コロラド州デンバーで開かれた米科学振興協会(AAAS)の会合で、科学者がこんなテーマで激論を交わした。

「知らされるべきではない」という意見を述べたのは、シンクタンク「ランド・コーポレーション」(カリフォルニア州サンタモニカ)のジョフリー・ソンマーさん。ソンマーさんは「警告を受けても対策の取りようがない場合、警告をしても全く意味がない」と話し、警告が遅すぎる場合は、政府は黙っておくべきだという意見だ。 しかし、ほかの専門家はソンマーさんの意見を激しく批判した。

英リバプール・ジョン・ムーアズ大学のベニー・パイザーさんは「ソンマーさんの考え方は全く合理性を欠き、現実的ではない」と話す。パイザーさんは小惑星の追跡をしている専門家だ。

またパイザーさんは、「専門家のほかアマチュア天文家も簡単に観測データや計算結果を入手できるので、小惑星接近を秘密にしておくことはできない」とも指摘する。

地球に壊滅的被害をもたらす直径1キロ以上の小惑星で、地球の軌道の近くを通るものは1000個以上あると考えられており、米航空宇宙局(NASA)は2008年をめどに、そうした大きな小惑星のリストづくりを進めている。

大きな小惑星の衝突は、6500万年前に恐竜の絶滅を招いたらしいことがわかっているが、その確率は低く、100万年に1回ぐらいしか起きないと考えられている。(CNN)