2003-01-06 「日本も有人飛行」:2020年目標に3機関が構想

 ロシア(旧ソ連)、米、そして間近の中国に続き、日本も有人宇宙船を――。宇宙開発事業団など国の宇宙3機関は共同で開発構想をまとめ、02年度中にも宇宙開発委員会にはかる。無人の水平離着陸機に有人軌道船を載せる方式で、20年度の初飛行が目標。だが無人に比べ格段に高い信頼性や巨費が必要だ。複雑な実験や衛星修理など、無人では不可能な宇宙活動はあるにせよ、新たに独自の有人システムが必要か、広い議論が必要となりそうだ。

 軌道船は全長30メートル、主翼の幅14メートル、130トンで5〜8人乗り。無人水平離着陸機は全長65メートル、主翼の幅30メートル、140トン。

 軌道船は自動操縦の離着陸機に背負われ、飛行機のように離陸する。離着陸機は大気の酸素で燃料を燃やす方式のため、大気圏で軌道船を切り離して着陸。後は軌道船が自力で周回軌道に向かう。帰還時は米シャトル同様、滑空で着陸する。

 巨大な燃料タンクを使い捨てにする米シャトルと違い、ほとんどの設備を再利用してコストダウンを図る。

 離着陸機のものと同タイプのエンジンはすでに航空宇宙技術研究所が開発中。帰還時の高熱に耐える素材や、機体、制御システムなども12年度までに開発。部分再利用型の無人宇宙貨物船などを造り、実験を重ねる。17年度までに軌道船の飛行性能を実証し、20年度の実用化をめざす。

 人命を預かる有人システムは高額で、このため米は「再利用」をうたい文句にシャトルを開発したが、それでも、衛星などの宇宙への「輸送」は無人ロケットに委ね、シャトルは人の介在が必要な活動に限っている。

 旧ソ連は一時、シャトルを開発、無人飛行までしたが、結局、有人ロケットを継続。中国も同方式を踏襲する。一方、欧州や日本は米ロに飛行士を運んでもらっている。

 シャトルの期待はずれの高コストや、同チャレンジャー号の爆発、国威発揚レースの一段落、有人活動の国際協力の枠組みができたことなどから、旧ソ連、米(共に61年)以降、有人宇宙船を持つ国は続かなかった。(朝日新聞より引用)

(この記事の出典が明らかでないために、確実性は不明確である。また、ロンチングシステムは、米国が計画中のSLIプログラムの中で検討されている再使用型打上げシステムと同じ方式となっているため、その成否は不透明である。しかしながら、宇宙開発の究極的な目的である有人宇宙探査に向けて、重い腰を上げつつある日本の宇宙開発当局としては、宇宙ステーションの次にくるべきビッグプロジェクトを模索している中で、大きな可能性の一つとなることは間違いないであろう。)