2017-06-03 米学生がつくった「DIYロケット」は、いかにして宇宙を目指すのか

いまや政府や大企業でなくとも、宇宙まで到達できるロケットを飛ばせるようになりつつある。南カリフォルニア大学の安価な「DIYロケット」は高度44kmまで到達し、学生のつくったロケットとして新記録を樹立した。

つい最近まで、宇宙に到達する手段をもっていたのは各国の政府だけだった。その後、テクノロジー業界の大企業が、数十億ドルを支払える者ならだれでも宇宙にたどり着けることを証明した[日本語版記事]。いまでは大勢の学生によって、地球から飛び立つのはそれほど費用がかからないことが明らかになっている。

南カリフォルニア大学工学部の学生らは、わずかな予算と空き時間を使って「Fathom Ⅱ」というロケットをつくり上げた。3月、彼らはニューメキシコ州のスペースポート・アメリカからFathom Ⅱを打ち上げた。パラシュートが開き地球に戻ってくるまでにロケットが達した高度は144,000フィート(約44,000m)。これは旅客機が飛ぶ航路の5倍にも及ぶ高度であり、彼らが前回行った打ち上げ時の2倍にあたる。学生がつくったロケットとしても、新記録を打ち立てる結果となった。

もっと高い高度を達成したアマチュア団体も存在するが、彼らは市販のロケットやプロが製作した簡易的なキットを利用している。しかし、南カリフォルニア大学(USC)のチームはFathom Ⅱのあらゆるパーツをゼロからつくり上げているのだ。

USCのロケット推進研究所の最終目標はカーマン・ライン(海抜100kmに引かれた宇宙との境界線)だ。そのために、彼らはより大型のロケットを必要としている。チームのロケット打ち上げコーディネーターであるヘイリー・カロウは次のように話す。「ぼくらは夏の間にロケットをつくり上げ、来学期には打ち上げようと思っているんです」。NASAよ、見てみろ。(Wired)