2014-04-07 中国、地震観測衛星打ち上げを計画

中国は宇宙から電磁気の擾乱(じょうらん)を観測する試験衛星を2016年に初めて打ち上げる。この衛星によって中国の地震観測ネットワークを改善し地震科学を前進させることを目指す。

衛星開発プロジェクトマネージャのイエン・シーチン氏によると、衛星には、誘導センサー磁気探知器、電場探知器、中国とイタリアが開発したエネルギー粒子センサー等の8個のペイロードを搭載して極軌道を飛行する。

衛星は高度507kmの電離層における電磁気信号を収集し地上に送信する。寿命の5年間で衛星は地震モニタリング、地球科学、宇宙科学の研究データを収集し地上に送信する。中国地震局(The China Earthquake Administration:CEA)が衛星のクライアントとなる。

CEAの地震科学研究所教授のシェン・ズーイによると、衛星の検出能力は大規模で連続的であり、複数のパラメータで観測し、あらゆる天候でも観測が可能である。これらのデータは現在の地上の観測ネットワークにとって重要である。

科学者が期待しているのは、大きな発見があれば地震をより深く理解でき生命を助けることができる。データを通じて、例えば電磁気信号の変化といった自然界からの警告となるような現象を理解できる。そして地震発生を事前に予知できるかもしれない。

中国の地震プロジェクトは2003年に始まっており、プロジェクトの一つである試験衛星は基本設計の段階にある。シェン教授はこのプロジェクトの最初から関わっている。「地震発生前に自然界は多くの信号を発しているが、その中でも磁気関連を選択した。なぜなら技術的にも経済的にもすでに準備されているから」と述べている。

イタリアのトレント大学教授のロベルト・バチストンは研究中の磁気と電場は地震科学探求の賢明な選択、と述べている。過去30年間、様々な研究によって地震活動と、バンアレン帯に閉じ込められているエネルギー電子の摘出との間に何らかの因果関係があることが暗示されている。

バチストン教授は、イタリアと中国の協力は極めて効果的と認識しており、衛星からのデータが受信できることに大いに期待している。中国の地震学者はフランス、シタリア、ロシア、ウクライナ等と協力していて、各国の研究者らが地震電磁気研究では最先端を進んでいる。

衛星打上が成功すると、中国は自らの地震観測衛星を持つことになり、国内の研究者との協力にとどまらず、この分野で広範な国際協力を推進する。米カリフォルニアのチャップマン大学地球科学教授のデミタール・オズノフも中国のプロジェクトに期待している、と述べている。

(編集者コメント:フランス宇宙庁CNES打上のDEMETER衛星が電離層擾乱を観測し、地震予知の可能性を示唆した。また、ESAのGOCE衛星(Gravity Field and Steady-State Ocean Circulation Explorer)は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に際して、30分後の太平洋沖上空と55分後の欧州上空を通過中に、超低周波音の波面を観測し、地震の影響が宇宙空間にも伝わることを世界ではじめて観測した。地震におびえる日本で、なぜ宇宙利用の地震観測を行わないのか不思議でならない。従来の地震学者の既得権益を守るほうが、人命を救うよりも重要なようだ。筆者も東北の3.11大地震発生の数年前に電離層と小型衛星を使った地震観測を専門家と一緒に国に補助金を申請したが、面接官の一言「地震は地震学者がやっているので新しい観測方法はそちらと重複する」との理由で却下。もしかして3.11を事前に予知出来たかもしれないと考えると今でも大いに悔やまれてならない。)