スペースフロンティアファンデーション主催の年次会議、NewSpace2011では、NASAと民間企業との関係、NASAプロジェクトの民間移譲について話題が集中した。特に予算が不足している国際宇宙ステーションへの物資補給システムとサービスの開発で、NASAの開発予算配分やリスク管理、契約形態等が議論された。
参加したNASAや民間企業の認識としては、米国の宇宙プログラムにおいて民間企業の役割は今後ますます増加し、重要になるだろうとのことで共通している。
NASAの予算のうち、民間企業に渡る金額は全体の85パーセントに及ぶが、NASAとしてはこの割合を維持しながらも、資金の使用目的を従来の方法から、より民間投資に近いレベレージの考えを持ち込み、より革新的で、オープンで、新市場を開拓し、コストを削減し、経済拡大に貢献することを求めている。
NASAのガーバ副長官によると、この考え方が成功した場合、宇宙産業の雇用拡大につながり、100パーセント政府予算に依存する必要もなくなると述べた。また、会議ではSpaceX社に就職希望者を募集していた。ガーバ副長官の希望としてはSpaceXに続く宇宙産業起業家が登場することを望んでいる。
しかしながら、この政策の移行期間に、NASA内部の一部のグループからは、歴史的なNASAの宇宙輸送システムを放棄することに異議を申し立てている。ケネディー宇宙センターの職員は、何十年もの間、スペースシャトルのような政府プログラムに依存してきた体制から、全ての経費を多種多様な民間宇宙活動を支え、宇宙センターを複合利用施設に変換しつつあることに懸念を示している。
ケネディー宇宙センターの責任者は、誰でも変化は好きではないが、最低限として、ロシアに依存しなくても国際宇宙ステーションへクルーを送る能力だけは確保しなけらばらない、と認識している。そのため、ケネディーとしては、民間宇宙輸送を支援するだけではなく、NASAが開発を進める大型ロケット開発プログラムも支援すると語っている。また、民間企業との協力作業で学習することはケネディーとNASAの将来に大変重要なことであり、この変遷期間を耐えれば成功するはずとし、選択の余地がないと覚悟のほどを述べた。
NewSpace会議の大部分はNASAの民間クルー貨物輸送プログラムに集中した。政府と企業当局者は、このプログラムによって政府予算カットに対応できるとは信じがたいと感じている。もし下院予算委員会が7月に312Mドルの商業乗員輸送向け予算が成立した場合、複数社のパートナーをの開発作業を継続し、前進を続け、今後10年以内に実際に輸送を実現することは大変困難でありチャレンジなことだと感じている。実際に打ち上げる場合にはさらに数100Mドルが必要とみている。
企業側としては契約形態が現在の宇宙アクト契約(Space Act Agreement)から一般の政府間契約に今後は変更される場合を懸念している。通常の契約になると、書類作成やプロジェクト管理にかなりのコストが要求され、弁護士や会計士も必要とする。そうなると、CCDevプログラムの第一、第二フェーズまで順調に進んできた状態が第三フェースでは維持困難と考えている。宇宙アクト契約では、段階的目標を達成するごとに支払いが行われ、その他の政府契約のルールに従う必要がないことから、事務処理や著しく簡略化されている。そのため、企業側としては、煩わしい作業時間管理や資金管理が必要なくなる。
NASAも企業側も、失敗は絶対の許されないという、大変に高い緊張の中で会議は進められた。米国の宇宙プログラムの威信にかけて、官民協力体制体制を成功させなければ、米国宇宙プログラムの将来は不透明となる。