2008-04-28 欧州の通信衛星打ち上げ、中国製ロケット使用へ

 26 日付米ウォールストリート・ジャーナルによると、欧州通信衛星機構(ユーテルサット)は衛星打ち上げに中国の長征ロケットを使用することを決めた。中国が西側の主要な通信衛星事業者から発射を請け負うのは初めてだ。これまで西側の衛星事業者は関連技術の漏えいと安全性の低さなどの理由から中国製ロケットの使用を避けていた。

 ユーテルサットによる長征ロケット使用計画は、軍事的、科学的な優越性を基に民間宇宙産業で中心的存在に浮上しようとする中国の野心を裏付けるものといえる。長征ロケットは今回の契約に際し、保険会社からロシアのプロトンロケットより安定したロケットとして評価された。

 米宇宙産業専門メディアのスペースニューズによると、主要国のロケットを使い衛星を打ち上げる際の保険料率は、欧州宇宙機関(ESA)のアリアン5で6.5%、米アトラスで6.6%、中国の長征で7.9%、ロシアのプロトンで10.3%などとなっている。

 ユーテルサットは中国と2010年に衛星1個を打ち上げることで合意したばかりだが、業界関係者はユーテルサットが中国製ロケットを広い範囲で使用する計画を持っているという。ウォールストリート・ジャーナルはSESグローバル、インテルサットなどほかの衛星事業者も中国の長征ロケットを使用する可能性が高いと報じた。

 欧州2位の衛星事業者のユーテルサットが中国製ロケットの使用を決めたことで、中国の宇宙開発計画に対する米議会の懸念はさらに強まるとみられる。(朝鮮日報)

(編集者コメント:以前、中国は多くの民間通信衛星を打ち上げていたが、1999年に米議会に提出されたいわゆる「コックスレポート」によって、中国への米衛星技術漏洩が発覚し、それ以降、西側は中国のロケット打上げ商業利用を停止していた。このコックスレポートの信ぴょう性については多くに疑問も投げかけられた。これをきっかけに、米は衛星の輸出担当機関を商務省から国務省に変更し、中国のロケット利用も停止し、今日に至っている。中国の商業ロケット打ち上げサービスが開始されることで、欧州はアリアンロケットと長征ロケットを使い分けることが可能となる。商業ロケット打ち上げサービス市場が大きく揺れ動きそうだ。)