2005-05-21 中国の実質国防費、公表額の3倍以上―米シンクタンク:2025年には20兆円に

 米国防総省に近い有力シンクタンク、ランド研究所は20日までに、「中国軍の近代化―機会と制約」と題する報告書を発表し、実際に物を購入する際の通貨価値である購買力平価で換算した中国の国防費は、公表されている金額の3倍以上に達し、2025年には1850億ドル(約19兆8000億円)に拡大するとの試算を明らかにした。

 中国政府が公表する国防費は1989年以降、2003年を除いて2ケタの伸び率を示しているが、この中には海外からの武器調達費や核兵器開発費、軍需産業への補助金、調査・研究費などが含まれておらず、透明性の低さが指摘されていた。

 報告書は03年の中国国防費について、ロシアからの装備購入費30億ドルなど表に出ていない支出を加えると、310―380億ドルに達すると試算。中国は同年の国防費を223億ドルとしているが、実際はそれを40―70%も上回っていることになる。

 報告書はさらに、物価水準の違いを反映させるために、人件費などを01年の購買力平価で換算。すると、03年の実質的な国防費は、公表額の3倍以上となる690―760億ドルに達することが分かった。

 中国が今後も軍事力の増強を続ければ、25年には01年の購買力平価で換算した国防費が1850億ドルに達すると予測。ランド研究所のキース・クレイン上級エコノミストは「中国の軍事費は25年までに、米国のどの同盟国をも上回るだろう」と指摘する。

 報告書はまた、中国軍需産業の動向についても分析している。1990年代後半、軍需産業の改革に着手した結果、情報技術、造船、航空宇宙などの分野で装備品の質が著しく向上。これらの産業は、民間部門でも国際競争力を高めているとしている。(世界日報)