2005-02-07 宇宙開発委:今後の国産衛星開発は中小型衛星を中心に

 国産衛星の相次ぐ故障を受け、文部科学省の宇宙開発委員会は7日、今後の国産衛星開発は2トン以下の中小型衛星を中心にする方針を固めた。衛星の本体部分は実績ある既存技術の利用を基本とし、搭載する観測機器だけを変えることで信頼性の向上を図る。さらに、開発期間を短縮することで開発回数を増やし、人材育成にもつなげる。

 国産衛星では、地球観測衛星「みどり」(97年)と「みどり2」(03年)が相次いで想定寿命より早く運用停止した。いずれも3トンを超す大型衛星で、観測機器と並行して開発した本体部分の太陽電池パネルの故障が原因だった。

 このため同委員会は「本体の新規技術は衛星の目的達成に真に必要な場合のみ採用すること」を原則に掲げ、同一の本体を多く打ち上げることが、信頼性確保につながるとした。10年前後かかっていた開発期間を5年程度にすることも求めた。

 開発計画の立案では、地球観測衛星など「実利用衛星」と技術開発を目指す「技術試験衛星」を区別し、実利用衛星は信頼性確保を優先する。技術試験衛星は新規技術や大型化を認めるが、実利用のためのセンサーは搭載すべきではないとした。

 同委員会の井口雅一委員長は「失敗ゼロの宇宙開発を目指すことが、国際競争力を持つ衛星開発にもつながる」と話している。(毎日)