2004-01-28 科学衛星1号開発者の90%が契約職

 昨年9月27日午後3時11分(韓国時刻)、北極海近くの宇宙開発機関・プレセツク射場(モスクワ北東側800キロメートル)で、韓国の「科学技術衛星1号」が地上690キロメートル軌道上空に向けて発射された。

 100%国内技術で製作した国内初の宇宙観測科学衛星だ。重さ106キログラム、高さ1メートルという“小柄”なこの衛星には、韓国宇宙航空産業界の15年の宿願が凝集されている。

 宿願を現実にした韓国科学技術院(KAIST)人工衛星研究センター開発チームは26人。そのうち23人は契約職だ。機械チーム長の李ジュンホ(33)博士。KAISTで機械工学を専攻し、英国のロンドン大学で修士および博士学位を取得している。李ジュンホ博士もまた契約職だ。

 99年に開発チームに参加し、最初に受け取った給料は140万ウォン。2歳の娘がいるという李博士は「銀行で1000万ウォンの貸付を受けようとしたけれど、契約職だから断られた」と話す。

 サムスン電子の携帯電話のハングル語版ソフトウエアプログラム「チョンジイン」。99年以降、このプログラムを搭載して販売された携帯電話は3000万台以上。

 携帯電話1台あたりのプログラムの価格は3000ウォン(後に訴訟で開発者側の弁護士が算定した金額)で計算する場合、900億ウォンという価値のあるプログラムだ。しかしサムスン電子がこのプログラムの開発者に支給した特許出願登録に対するインセンティブはわずか21万ウォン。

 しかしこの程度の補償をしてくれる企業もほとんどない。2001年に労働部が1565の企業を調査した結果、研究員の職務発明補償制度を採択している企業は15%に過ぎなかった。政府は科学者やエンジニアのこのような「無念な思い」には無関心だ。

 2001年3月に改正された特許法は「従業員職務発明補償金の支給に必要な事項は大統領令によって定める」と規定している。しかし大統領令はその後3年間、何も取られていない。

 政府と企業は研究者や開発者の成功の補償は惜しんでも、失敗に対しては厳しい。このような事情であるため、研究や開発現場に残っている40〜50代のエンジニアは少ない。LG生命科学技術研究院の場合、310人の研究院中50歳以上はソン・ジヨン(53)院長1人だけ。研究院全体の平均年齢は33.6歳だ。

 技術人材をのけ者にし、エンジニアの失敗を容認しない状態では、新技術が誕生することはできない。

韓国が2001年に続いて2002年にも経済協力開発機構(OECD)会員国中、技術貿易収支赤字国リストの最上位から2〜3番目にランクされている理由がそこにある。(朝鮮日報)