2003-10-25 環境観測衛星「みどり2号」に異常、データ送信できず

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、昨年12月に国産ロケットH2A4号機で打ち上げた環境観測技術衛星「みどり2号」の電源系統に異常が発生し、同日朝から通信が途絶し、観測データも送ってこなくなったと発表した。

 地上へのデータ送信に必要な電力が供給されないのが原因とみられる。衛星は遠隔操作に反応せず、今後の観測継続は絶望的になった。

 同機構によると、同日午前1時15分ごろ、太陽電池パネルの発生電力が6キロ・ワットから1キロ・ワットに落ち、蓄電池から供給される電力も低下した。衛星の運用を続けるには最低でも4キロ・ワットの電力が必要で、この状態が数日続けば衛星の機能は停止し、観測データの取得も不可能になる。すでに観測装置の一部が使用不能になっている可能性もある。同機構は同日、原因究明のための対策本部(本部長・山之内秀一郎理事長)を設置した。

 「みどり2号」は雲や雪氷の分布、水蒸気量やオゾン分布を観測する日米仏のセンサー5台を搭載、今年4月から定常運用に入っていた。設計寿命は3年。総開発費は約730億円。

 1996年8月に打ち上げられた初代の地球観測衛星「みどり」も、10か月後の1997年6月末に太陽電池パネルの破断により機能を停止している。(読売新聞)