2003-04-14 世界初、電子レンジ電磁波で飛ぶロケットを東大が開発

 電子レンジで加熱に使われる電磁波(マイクロ波)をロケットの底部に当て、空気を急速に加熱、爆発させて推進力にする「マイクロ波ロケット」の実験に、東京大のグループが世界で初めて成功した。

 大気中では空気を“燃料”とするため特別な燃料がいらず、ロケットの小型化や大幅なコスト減が可能だという。小紫公也・助教授らは、日本原子力研究所が国際熱核融合実験炉(ITER)の加熱用に開発した強力なマイクロ波発生装置「ジャイロトロン」を使い、マイクロ波の束(ビーム)を、中華鍋の形をした金属に当てた。

 すると、反射して1点に集まったビームが、空気を超高温に加熱し、爆発的に膨張させて推進力を生み出した。さらに、実際に重さ9・5グラムの模型ロケットに同じビームを1000分の1秒間当てたところ、2メートル飛び上がった。

 ビームは地上から当て続け、空気がなくなる高度100キロより高いところでは、積み込んでいた別の燃料で推進する。さらに出力を上げ、重さ数百キロ程度の衛星部品などを宇宙空間に運ぶことを目指すという。(読売新聞)

(編集者コメント:マイクロ波によるロケット打上げの技術はそれほど新しいアイディアではないが、重力脱出のためのエネルギーをマイクロ波に置き換えることに成功すると、宇宙旅行もかなり安全なものになるに違いない。しかし、同時に地表への帰還を安全に行うための技術も必要と思われるのだが。)