2003-02-02 以前から指摘されいたシャトルの危険性:高齢公務員、民営化の遅延(スペースレフ:村川)

 今回のシャトルコロンビア STS−107ミッションの事故は、起こるべきして起きてしまった事故と言える。
NASAは、2002年の初めにも、NASAは2004年から2006年にかけてスペースシャトルの民営化に向けた足固めをする予定であった。

 シャトルは、NASAや関係企業にとって複雑な管理、コスト、安全性などで多くの挑戦課題が存在する。多くのシャトルの運用に関係しているマネージャーは、シャトルに関して経験豊かなNASA職員が間もなく定年を迎え、民営化が遅れることで安全性が脅かされると考えている。

 同時に、宇宙飛行士らも民営化によって安全性が脅かされるのではと懸念を表している。民営化によって打上げ回数の減少、国家の有人宇宙能力の低減、さらに国際協力にもマイナスであると感じている。

 ジョンソン宇宙センターはこれまでにも、NASAのフィールドセンター、USアライアンス社、他の関係企業を含めて民営化に関する評価作業を実施してきている。この60ページに及ぶ評価報告書では、かつてCIAやエネルギー省によって開発された手法が、シャトルの民営化のモデルとして検討もされたことも報告されている。報告書では、民営化によるとことよりも、公務員であるNASA職員が大きく関わり過ぎている状態を続けていることによってシャトルの安全性に大きな危険性を生み出すと見ている。

 今回の事故原因によって、その責任がシャトル打上サービス契約企業のUSA社にあるのか、NASA職員に原因があるのか、今後の責任の所在によっては、シャトル運用の民営化、そして新規再使用型ロケット開発の加速へと進むであろう。しかしながら、新規RLVの開発予算をNASAのみでは到底不可能である。テロ対策や国家安全保障に宇宙利用を積極化させているブッシュ政権の政府方針を受けて、空軍なども絡む軍民共同による再使用ロケットの開発が加速するであろう。