2003-01-13 NASAが「原子力ロケット」開発へ 火星探査を念頭に

 米航空宇宙局(NASA)が世界初の「原子力ロケット」を開発する方針を固めた。10年後の火星探査を念頭に置いた計画だ。17日付の米ロサンゼルス・タイムズ紙が、NASAのオキーフ長官と単独会見して報じた。同長官は、28日のブッシュ大統領の一般教書演説に盛り込まれるとの見通しを示した。
 原子力ロケットは、搭載する小型原子炉で推進剤を高温に加熱するなどして噴射、時速約2万9000キロを目指す。固体燃料や液体水素などの推進剤を燃やす在来型ロケットだと火星まで6〜7カ月かかるが、原子力ロケットだと2カ月でたどり着く。

 全体的なシステムや細かい設計は宇宙関連の企業と協力してつくる。在来型ロケットと同様の方式で打ち上げた後、宇宙に出てから原子力推進に切り替える案が現実的とみられる。

 開発費は今後5年間で少なくとも10億ドル(約1200億円)。同紙によると、ホワイトハウスはNASAの開発計画を了承ずみだという。

 オキーフ長官は「新世代ロケットを開発するだけではなく、それを使うミッションをも念頭に置いた野心的な計画だ」と述べ、10年後をめどに火星の有人探査を目指す意向を示した。