NASA、有人探査プログラムを宇宙商業化と関係付け

スペース・コム

NASAが発行した共同研究公募の裏側を、
責任者のMankins博士とのインタビューを交えながら描いてく。

2001/2/15
NASA、有人探査プログラムを宇宙商業化と関係付け


NASAは地球低軌道より更に先の宇宙空間まで飛行する有人探査計画を宇宙の商業開発を関係付けており、21世紀の先端技術の創生を開始したいと期待している。

有人探査及び宇宙開発(HEDS)技術/商業化事業に向けた予算はたったの20億円である。 NASAはこの事業をHTCI(Human Exploration and Development of Space (HEDS) Technology/Commercialization Initiative)と命名している。

NASAの未来的志向の持ち主達は201年までに50日から100日の低軌道の外側の宇宙旅行を安全で、効率的で、実現可能な目標として有人探査構想を練っている。これに続いて、この10年後には深宇宙に向けて300日から1000日程度の長期間の宇宙旅行を練っている。

このよに飛行距離が長くなる中で、有人宇宙旅行にむけた特定の目的地は設定されていない。NASAは、月面基地の建設や、人間を小惑星や火星などに人間を輸送するといって有人宇宙計画の具体的な計画はもっていない。

反対に、NASAはどちらかというと、ロボティックや有人探査のみならず宇宙の商業開発にむけて価値のある新技術の開発を追求したがっている。

古い考え方:アポロパラダイム

 NASAの先端プロジェクト局にあるHTCIマネージャのJohn Mankins氏は、新しい計画遂行の手法として商業開発を基本的に推し進めている。Mankinsは、これらを基本的には技術開発における異なったアプローチであると考えていると、インタビューで応えている。NASAは、小惑星に行ったり月面基地を建設したり、また火星に行ったりするための「工具一式」的な最終技術を開発しようとしているのではないと述べている。そして、現在NASAが行なおうとしているのは、戦略的な投資、重要な価値を生み出すかもしれない暫定的なステップ(interim steps)、そして短期的な収益の確保等を開始することであるとしている。このHTCIのアプローチはアポロパラダイムとは全く異なる発想である。

 Mankinsは、1960年代の技術開発には全てのハードウェア、ミッションのための基盤整備など全てに関して庶民の財源を湯水のごとく費やしてきたが、人間が月面に着陸した後に、いつかは技術の応用分野でスピンオフが起こることを期待してきたとのべた。そして現在ではコスト分担(シェアリング)、税金の効率的な投資、そして探査への挑戦に直接関係する研究開発力を導き出すために民間企業との協力関係の創設などを期待していると述べた。

そっと歩き、しかし大荷物を運ぶ

NASAは、商業目的と宇宙探査目的を融合させるために、民間企業、大学などを誘発材料とすべく、共同研究公募(Cooperative Agreement Notice:CAN)を発表した。これを実行するために、巨大通信プラットフォーム、宇宙ビジネスパーク、微量重力工場、そして民間宇宙旅行や宇宙観光等のより短期プロジェクトが促進されながら、NASAの長期宇宙計画が発動されることが可能となる。

HTCIは、宇宙資源開発、宇宙利用と発電、居住と航空宇宙生物学、宇宙での組立/検査/維持管理、宇宙探査と宇宙旅行、宇宙輸送の各カテゴリーに関するプロジェクトを求めており、専門家による選考プロセスを経て、採用プロジェクトに研究資金を提供する。

地球からはるか遠くの宇宙空間で巨大な構造物を製造することは、ロボットの利用に多く依存することを意味する。NASAの事業計画者は、大型建造部材を移動するために宇宙飛行士とともに作業を行うためのロボットやその他の装置、例えばクレーンやフォークリフトのようは装置を視野に入れている。

Tool time for explorers

  宇宙の大型システムに関連する問題を調査し診断する方法はNASAによって検討されている。このような能力は将来の商業宇宙サービス提供事業の重要な要素となる。小型で自由浮遊、そして自動作動し、宇宙に滞在して必要に応じて調査を行うような装置も必要となる。

  宇宙では緊急に電力が必要となる場合もある。官民の宇宙プロジェクトにとって有益なものが宇宙太陽発電である。これには無線電力転送、宇宙原子力発電、極低温燃料貯蔵庫などが含まれる。

  ひとたび宇宙探検隊員が目的地に到達すると、様々な道具が彼らの科学研究の手段となる。センサー、実験装置、研究システムなどが必要となり、それらによって惑星の大気、表面、内部構造等を観測し、その他の様々な観測を行う。NASAは探査用道具一式を求めており、ハードウェアを調達するための産業界と学術界との協力体制を求めている。

Mankinsは2月9日のHTCIのブリーフィングで、今回の共同研究には約15億円の予算をわれ当てており、残りの5億円はNASAフィールドセンターの研究プロジェクトに割り振られる。これ以外に、次のNASA予算の持ち回り(budget cycle)から、15億円も可能であると述べた。このHTCIに向けた予算は少ないが、方向としては正しいステップを踏んでいると、ラングレー研究センターの宇宙探査プログラム責任者のMark Saunders氏がのべた。(要約:スペースレフ)

(編集者コメント:今回のCAN(共同研究公募)の特徴は、制限つきながら海外からの応募も積極的に促進している点である。CANは、共同研究でありながら、特許の実施権などは企業側に有利な条件が与えられる。しかしながら研究費の半分は研究者側が負担するのが普通である。)